健康事務FAQ

健康事務FAQ

お客様(企業の人事・総務の方)より寄せられた過去の質問・お問合わせ内容をまとめました。
今後、随時追加していきます。ご参考ください。

健康診断に関すること

  健康診断は労働基準法で義務化されていますが、どのような法律ですか?
  労働者の保護の目的で定められた法律です。民法の原則を労働基準法が修正して規定し、労働基準法が特則として優先されます。民法は使用者と労働者に適用する法律であり、労働基準法は国と使用者間に対する法律であり刑事罰を伴います。
  健康診断をしないと罰せられると聞きましたが特殊健診もしないと罰せられますか?
  健康診断の実施と結果の通知は使用者の履行義務なので実施しないと罰せられます。履行義務なので就業規則に規定が無くても実施しなければなりません。一般定期健診、特殊健診等も同様です。
  健康診断で「要再検査」の結果が出たら使用者はどうしたらよいですか?
  対象者に対し、必ず再検査に行くよう指導します。使用者の履行義務は健診の実施と結果の通知までですが、何らかの事故があると安全配慮義務違反に問われ、損害賠償請求されることもあります。
  「再検査」を拒否した労働者への対応はどうしたらよいですか?
  就業規則に「会社が必要と判断した場合、健康診断を命ずることがある」旨を規定しておくことが必要です。しかし懲戒の対象にはなりません。再検査に行くよう命じても行かない場合は、懲戒ではなく「労務提供の受領の拒否」が妥当です。
  使用者はいつでも健康診断の受診を労働者に命ずることはできますか?
  法定健診の実施と結果の通知は使用者の義務です。この義務を怠れば刑罰を科せられます。しかし使用者が法定健診以外の健診受診命令権を持つには、就業規則に規定しておくべきです。特に「休職期間満了」時に復職させるかどうかを判断するための健診受診命令権は必要です。
  健康診断の受診は就業規則に規定すべきですか?
  身体の疾病は客観的に判断できるので就業規則に規定することをお奨めします。
しかし精神障害の場合は判断が難しく、適切な対応が取れない場合がありますので就業規則規程だけでは、不十分の場合がありますので、ご注意ください。「精神科に見てもらいなさい」と命じるのは権利の濫用になる可能性もありますので、対応する際には客観的な根拠が求められます。使用者や管理者は、文書で記録を残しておく必要があり、産業医や衛生委員会に対応を相談することをお奨めします。
  会社側が健診結果を知るためには労働者の同意が必要ですか?
  定期健診の法定健診項目は労働安全衛生法が使用者に義務と課しているものです。また、就業上の安全配慮義務もあります。法定健診項目の健診結果は個人情報と同時に会社帰属情報扱いとなります。
同意の必要はありませんが、プライバシー保護の観点から、誰が、どの範囲まで見ることが出来るのか、社内マニュアルを作成することをお奨めします。また個人情報保護の観点から健診結果の保管には十分な対策をとるべきです。
  法定健診項目以外の健診結果を会社側が知るには労働者の同意は必要ですか?
  労働安全衛生法による使用者の健康診断義務には該当しませんので、この健診結果を会社側が知るには、本人の同意が必要です。
  法定健診項目以外の健診項目を本人が希望した場合は、会社が全額負担するべきですか?
  労働安全衛生法による使用者の健康診断義務には該当しませんので、会社負担の必要はありません。一般的には個人負担にする企業が多いようです。折半する企業や全額会社負担にする企業もあります。
  再検査や臨時の健診結果を会社側が知るには本人の同意が必要ですか?
  再検査の受診は会社側の法的義務ではありませんので、再検査の結果を会社側が知るためには本人の同意が必要です。また、労働者に何らかの故障・障害がみられた場合に命じる臨時の健診は、労働者の同意を得て医療機関から報告を受けるか、労働者自身に報告を求めるしかありません。報告を拒否した場合は、安全配慮義務の観点から、労務提供拒否という扱いになります。
  管理監督者が労働者の主治医に会って話を聞いたらプライバシーの侵害と言われました。侵害なのでしょうか?
  健康状態は、プライバシーという権利として保護される個人情報なので慎重な取り扱いが要求されます。しかし、労働契約している両者に権利と義務がありその履行に関連した場合は問題ないものと思われます。労務提供を債務の本旨に従って履行できる健康を有していることが労働契約の無いように含まれているからです。使用者は、個人情報取得後の個人情報をきちんと管理し、みだりに公開しないことで、労働者のプライバシーを守ればよいということになります。
  社員の家族対策もやってもらえるでしょうか?
  平成20年度から特定健診・保健指導の義務化も始まり、社員の家族対策もますます重要になってきます。私たちの推進する「コンビネーション健診」は、社員の家族への配慮も含まれます。また保健指導についても、全国の指導員ネットワークを駆使して、対象者の場所、時間、健康状態に合わせた最適な指導員がご自宅や公民館等へ伺い、指導をすることが可能です。

健康管理業務に関すること

  会社における健康管理の意義はなんでしょうか?
  (1)企業を支えているのは働く人でありその基盤は健康であること
(2)健康管理・健康づくりの実践をするなら費用対効果が重要であること
(3)将来に対する投資。健康づくりは先行投資であること
(4)企業イメージの創造と社会的責任を果たすこと(CSR)
(5)企業の存続条件としてのコンプライアンス
(6)企業のリスクマネージメント対策・安全配慮義務の履行(債務履行と不法行為の防止)
の6点と考えられています。
  心身ともに健康な社員が会社で業績を上げると聞きますが、どういうことですか?
  企業が業績を上げるためには、社員の持っている能力を適切に仕事に結びつけ、それを評価し、適正な賃金を支払うことが重要です。しかし、知識や経験、専門性の高い社員が、そのスキルだけで成果を上げるかは疑問です。能力・スキルがあっても体調や悩み、執務態度、私的生活トラブル等、なにより心身共に健康に問題を抱えていては、やはり業績は上がりません。
  企業における社員の健康とはどのように考えればいいですか?
  「身体的健康」「精神的健康」「社会的健康」の3種類と考えています。
社会的健康とは、企業秩序を遵守できること、他の社員と良好な人間関係を保てること、協調性を持っていることです。
  セミナーなどをお願いする時は、どのような企画を実施してもらえるのでしょうか?
  企業や社員にとって必要な健康課題をテーマとしたセミナーをはじめ、ご要望に応じた内容のセミナーを企画いたします。参考までに、これまで下記のようなセミナーを実施してまいりました。
・講義、栄養・運動・保健指導、血液検査をすべて実施する一日コースのセミナーを開催
・事業所ごとにメタボリック対策を中心としたセミナーと個別保健指導を開催
・社員のメンタル対策として、アロマをテーマにしたセミナーを開催 など
また講師や指導員についても、その分野を得意とする医師や専門家を手配いたします。
お客様(企業)に最適なセミナーを企画・開催いたしますので、希望するテーマがありましたら、お気軽にご相談ください。
  人事労務管理はどう考えればいいですか?
  採用から退職までの社員管理であり、健康で成果を上げることのできる社員が育つよう管理することと考えます。やはり「身体的健康」「精神的健康」「社会的健康」が大事です。
まずは、健康な社員の採用から全てが始まります。
  人事・労務管理の業務とは何ですか?
  (1)健康な社員の採用
(2)適切な配置
(3)日常労務管理の徹底と部門管理職への教育
です。定期健診の受診、労働時間の把握、精神健康面への注意、人間関係等の職場環境に常に注意を向け働きかけることです。管理職には成果を上げる部下を育成することが職務であること知らしめ、ついては自己管理の必要性を気付かせます。それが企業全体の健康管理・業績向上につながります。
  雇用契約と労働契約の違いは何ですか?
  「雇用契約」は民法の概念をいい、使用者と労働者の契約を指します。「労働契約」は労働基準法が適用される労務供給契約をいいます。
  職場における健康の意味はなんですか?
  労働者は労働契約に基づいて労務提供します。また集団で労務を提供する協働関係にあります。トータルパワーを引き出し円滑に運営するために企業秩序と良好な人間関係が不可欠です。この社会的健康も含め身体的健康、精神的健康を保つ責任は原則として「労働者」にあります。使用者には一定の配慮が求められます。
  使用者の一定の配慮とは何ですか?
  まずは労働基準法等の遵守です。法は労働時間を制限することで、労働者が長時間労働によって心身の健康を損なわないように予防しているのです。使用者は割増賃金面からだけでなく労働者の管理の面からも労働基準法の労働時間を守ることが重要になります。
  管理職(管理監督者)は健康に関してどうすればよいですか?
  部下の労働管理は管理職の仕事ですので、それを適切に実施するために、徹底した管理者教育が必要です。(Q5参照)
  衛生委員会を設置しないと罰せられますか?
  労働安全衛生法では、50人以上の労働者を使用する事業場毎に衛生委員会の設置を義務づけています(第18条1)。しかし50人以下の事業場でも、衛生委員会の設置は意義があり、可能な限り設置することをお奨め致します。
  衛生委員会の目的は何ですか?
  衛生委員会の本来の目的は、
(1)労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること
(2)労働者の健康保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること
(3)労働災害の原因および再発防止対策で衛生に関するものに関すること
(4)他、労働者の健康障害の防止および健康の保持増進に関する重要事項について調査審議するものとされています。
  安全配慮義務とは何ですか?
  使用者は、労働契約関係にある労働者に対して安全配慮義務を負っています。社員、アルバイト、パート、出向者、派遣者、業務委託者(条件の下)など働く人全てに対して責任があります。しかし、はじめから特定の義務が定められているわけでなく、事案ごとにその結果について使用者に法的責任があるか否かの観点から、使用者はその結果を回避するためにどのような義務を負っていたかどうかを議論するものです。特定された義務が履行されなければ安全配慮義務違反が問われ、民事訴訟の対象になってします。